十牛図とは?|「自分を探しているときに読む話」心の地図

十牛図とは?|「本当の自分」を探している人のための、こころの旅の全体像
くりちゃん

最近「十牛図」を知って、
「これってどういう意味なんだろう?」と気になった方も、「自分にも関係があるものなのかな?」「なんか面白そう」「抽象的で難しいかも」と感じた方も、みなさんこんにちは。

十牛図(じゅうぎゅうず)は、
禅の世界で「心の歩み」を表した、10枚の絵からなるガイドマップです。

ただ、絵がとても抽象的なため、「なんとなく惹かれるけれど、自分に当てはまるのかはよく分からない」と感じる方も多いかもしれません。

私自身は、十牛図を特別な人の悟りの物語ではなく、誰の中にも起きている「心の変化のプロセス」を描いた地図として読んでいます。

自分を見失って、迷って、探して、気づいて、 そしてまた日常に戻っていく。

十牛図は、そんな内面の動きを静かに描いた、少し不思議で、でもとても現実的な「心の旅の全体像」だと感じています。

この記事では、十牛図という“心の地図”を、「現代の私たちの感覚ではどう読めるのか?」という視点で、分かりやすく整理していきます。

自分を探している方、少し生き方に迷っている方、自分らしく生きたい方、自然体で生きたい方の、ヒントになると嬉しいです。

📚 より深く、体感的に各フェーズを読みたい方は、続編もあわせてどうぞ。

〈 もくじ 〉

十牛図って何?|10枚の絵で描かれた「心の深まり」

静かな湖と山の風景|内省や自己対話の時間をイメージした自然の景色

十牛図は、12世紀の中国・宋代に活躍した禅僧、廓庵(かくあん)によってまとめられた図として知られています。

およそ800〜900年前に描かれたこの図は、中国から朝鮮半島、そして日本へと伝わり、長い時間をかけて読み継がれてきました。

簡単にいうと、十牛図とは
「修行の過程や悟りの体験を、牛を探す旅になぞらえて描いた視覚的なガイド」です。

そのため仏教の文脈では「悟りに至るまで、そして悟り後を含めた道のり」として解釈されることが一般的です。

くりちゃん

悟りというと難しそうですが、なぜか自分自身にも当てはめられそうな気がするのが十牛図ですよね〜

私が考える十牛図は、仏教の特別な修行者だけがたどる物語ではありません。

よくよく考えてみると、ここに描かれているのは「こころの旅」なんですね 🌱

迷い、気づき、手放し、 そして再び日常へ戻っていく——

そうした「こころの動き」そのものが、10枚の絵として表現されていると読むことができます。

イラストで見る十牛図の全体像|こころの旅

十牛図は、10枚の絵を通して、「こころの旅の全体像」を表しています。

まずは細かな意味を考える前に、10枚の絵が描いている“全体の流れ”を眺めてみてください。

十牛図を十図のイラストPC用
十牛図10枚のイラスト(スマホ用)

始めは、自分が何を探しているのかも分からない「迷い」の状態から始まり、やがて小さな気づきが生まれ、少しずつそれを受け取り、手放し、最後はまた日常の中へと戻っていく。

くりちゃん

大きな流れで見ると十牛図は、
「迷い → 気づき → 統合 → 日常へ戻る」
という流れを描いた図だと捉えることができそうです💡

ちなみに、この道のりは一直線ではありません。

それぞれのフェーズを行きつ戻りつしながら、人それぞれのペースで歩んでいく——
そんな道のりとして描かれています。

十牛図の示す「牛」とは何か?

なんとなく全体の流れは分かってきたけれど、多くの人が次に気になるのは、「牛とは何を表しているのか」ではないでしょうか。

「牛」は、時代や読み手によって、いくつかの言葉で解釈されてきた象徴です。

仏教の文脈的には確かにこう読まれてきました。

🐂 牛 =
  • 悟りそのもの
  • 仏性(本来そなわっている真実の心)
  • 真我(エゴではない「本来の自己」)

どれも少しずつ違う言葉ですが、指している”方向”はかなり近いです。

牛 =「外に探しているけれど、実は自分の内側に既にあるもの」

と言えるかもしれません。

くりちゃん

個人的には、この牛を「自分らしさ」として読むと、現代の私たちにも、とても分かりやすいと感じています

十牛図の10フェーズを「自分らしさ」で見てみる

それでは、イメージしやすいように、ここでは「牛=自分らしさ」として、10フェーズを現代風に翻訳してみます。

もし自分なりの「牛」が思い浮かぶ方は、それを重ねながら読んでもいいかもしれません。

尋牛(じんぎゅう):牛を探しに旅立つ

何かがズレている気がして、「自分らしさ」を探しはじめる

十牛図 第一図 尋牛(じんぎゅう)の図

見跡(けんせき):牛の足跡を発見する

「自分らしさ」につながりそうな手がかりや違和感に気づき始める

十牛図 第二図 見跡(けんせき)の図

見牛(けんぎゅう):牛の一部が見える

「自分らしさ」を部分的に理解する

十牛図 第三図 見牛(けんぎゅう)の図

得牛(とくぎゅう):牛をとらえる

「自分らしさ」の軸をつかむ

十牛図 第四図 得牛(とくぎゅう)の図

牧牛(ぼくぎゅう):牛を飼いならす

時々迷いながらも、「自分らしい」行動を少しずつ重ねる

十牛図 第五図 牧牛(ぼくぎゅう)の図

騎牛帰家(きぎゅうきか):牛に乗って帰る

無理をせず、意識せずとも「自分らしさ」と共に日常を生きられるようになる

十牛図 第六図 騎牛帰家(きぎゅうきか)の図

忘牛存人(ぼうぎゅうぞんにん):牛を忘れ、人が残る

「自分らしくあろう」という意識がいつの間にかなくなっている

十牛図 第七図 忘牛存人(ぼうぎゅうそんじん)の図

人牛倶忘(にんぎゅうぐぼう):人も牛も忘れる

自分と外側の世界を分けていた区別が溶ける

十牛図 第八図 人牛倶忘(じんぎゅうぐぼう)の図

返本還源(へんぽんかんげん):根源に還る

世界の一部である、純粋な「いのち」としての自分に戻る

十牛図 第九図 返本還源(へんぽんかんげん)の図

入鄽垂手(にってんすいしゅ):人里に戻って日常を生きる

社会に戻り、何かを成そうとも、教えようともせず、ただ自然体で生きる

十牛図 第十図 入鄽垂手(にってんすいしゅ)の図

① 尋牛(じんぎゅう):牛を探しに旅立つ

何かがズレている気がして、「自分らしさ」を探しはじめる

十牛図 第一図 尋牛(じんぎゅう)の図

② 見跡(けんせき):牛の足跡を発見する

「自分らしさ」につながりそうな手がかりや違和感に気づき始める

十牛図 第二図 見跡(けんせき)の図

③ 見牛(けんぎゅう):牛の一部が見える

「自分らしさ」を部分的に理解する

十牛図 第三図 見牛(けんぎゅう)の図

④ 得牛(とくぎゅう):牛をとらえる

「自分らしさ」の軸をつかむ

十牛図 第四図 得牛(とくぎゅう)の図

⑤ 牧牛(ぼくぎゅう):牛を飼いならす

時々迷いながらも、「自分らしい」行動を少しずつ重ねる

十牛図 第五図 牧牛(ぼくぎゅう)の図

⑥ 騎牛帰家(きぎゅうきか):牛に乗って帰る

無理をせず、意識せずとも「自分らしさ」と共に日常を生きられるようになる

十牛図 第六図 騎牛帰家(きぎゅうきか)の図

⑦ 忘牛存人(ぼうぎゅうぞんにん):牛を忘れ、人が残る

「自分らしくあろう」という意識がいつの間にかなくなっている

十牛図 第七図 忘牛存人(ぼうぎゅうそんじん)の図

⑧ 人牛倶忘(にんぎゅうぐぼう):人も牛も忘れる

自分と外側の世界を分けていた区別が溶ける

十牛図 第八図 人牛倶忘(じんぎゅうぐぼう)の図

⑨ 返本還源(へんぽんかんげん):根源に還る

世界の一部である、純粋な「いのち」としての自分に戻る

十牛図 第九図 返本還源(へんぽんかんげん)の図

⑩ 入鄽垂手(にってんすいしゅ):人里に戻って日常を生きる

社会に戻り、何かを成そうとも、教えようともせず、ただ自然体で生きる

十牛図 第十図 入鄽垂手(にってんすいしゅ)の図

こうして見ると、十牛図は「自分らしさ」を探して → 見つけて → それすら手放し、肩の力が抜けた自然体で日常に戻っていく──

そんな心の動きを描いた図だと分かります。

🌱 「自分らしさ」をBeingの視点で理解する

十牛図を「心のプロセス」として読んでみる

重なる山々と差し込む光の風景|静かな景色の中で内側に意識を向ける時間をイメージした山の風景

先ほどの現代的な翻訳を、心のプロセスと合わせて、ざっくり対応表にしてみてみました。

自己対話、内観、内省、自己受容、自己肯定感、自己信頼など、自分の内側を見つめるキーワードと一緒に読んでみると、今自分に必要なヒントを得られるかもしれません。

十牛図と心のプロセス対応表

🐃 十牛図のフェーズ心のプロセス「牛 = 自分らしさ」視点直訳
① 尋牛
(じんぎゅう)
自分に問いを向け始める
(自己対話)
「自分らしさ」を探し始める牛を探しに旅立つ
② 見跡
(けんせき)
感情や思考のサインに
気づき始める(内観)
「自分らしさ」のカケラや手がかりを見つける牛の足跡を発見する
③ 見牛
(けんぎゅう)
自己理解と自己受容の
始まり(内省)
「自分らしさ」を部分的に理解する牛の一部が見える
④ 得牛
(とくぎゅう)
自己理解と自己受容の深まり「自分らしさ」の軸をつかむ牛をとらえる
⑤ 牧牛
(ぼくぎゅう)
自己と信頼関係を築きながら、
選択・行動・実践をしていく
「自分らしい」行動を重ねる牛を飼いならす
⑥ 騎牛帰家
(きぎゅうきか)
行動や実勢を通して、
自己理解・自己受容が定着し、自己肯定感や自己信頼が育つ
「自分らしく生きること」が定着する牛に乗って帰る
⑦ 忘牛存人
(ぼうぎゅうぞんにん)
心理的・感情的統合が起きる
心は揺れることはあるけど戻れる場所がある状態
「自分らしくあろう」という意識が、いつの間にかなくなっている牛を忘れ、人が残る
⑧ 人牛倶忘
(にんぎゅうぐぼう)
存在的統合自分と外側の世界の区別が溶ける人も牛も忘れる
⑨ 返本還源
(へんぽんかんげん)
自然体の自己信頼世界の一部である、純粋な「いのち」としての自分に戻る根源(本来の自己)に還る
⑩ 入鄽垂手
(にってんすいしゅ)
外の世界との統合と循環
もう心が揺れても気にならない
何かを成そうとも、教えようともせず、ただ自然体でそこにいる人里に戻ってありのまま、日常を生きる

※この記事で紹介したフェーズは、できている・できていないを評価するためのものではありません。どのフェーズにも上下や優劣はなく、生きている過程そのものが尊い、という視点を持ちながらなぞらえてみてください 🌱

🌱 ③の見牛(けんぎゅう)でカギとなる「自己受容」ってなんだろう?

🌱 自己対話を構成するもの

まとめ|達成を目指すというよりは、現在地の確認に使う

空へ向かって伸びる森の木々|木々の間から空を見上げながら心を整える時間をイメージした森の風景

ここまで、十牛図の全体像を、「現代の私たちならどう当てはめられるか?」という視点で整理してきました。

少しでも、十牛図が前よりも身近に感じていただけるようになっていると嬉しいです🌱

最後に、十牛図は「達成を目指す地図」ではありません。本来は修行の地図として描かれた十牛図ですが、最後に描かれているのは「何かを成し遂げた人」ではなく、ただ日常に戻っていく、肩の力が自然に抜けた姿でした 🌱

前に進んで、また戻って、を繰り返し、少しずつ「本当の自分らしい生き方」を学んでいく。
そんな人生の道を、誰もが意図せずに歩んでいるのではないでしょうか。

それでは、ここまで読んでいただきありがとうございました。
また次回の記事でお会いしましょう〜🍵

〈 今回の記事のまとめ 〉
  • 十牛図は、誰の中にも起きる「こころの変化」を描いた地図
  • 迷い・気づき・手放し・日常への回帰が、10枚の絵で表されている
  • 「牛」は、現代的には「自分らしさ」として読むと理解しやすい
  • 十牛図は、一直線に進む成長ではなく、行きつ戻りつする心の旅
  • 大切なのは、段階を判断することではなく、今の感覚に気づくこと
  • 十牛図は、達成の地図ではなく、迷ったときに立ち返る全体像

「十牛図」を今の自分と照らし合わせてみたい方へ

ここまでは、十牛図の全体像をイメージする目的で、整理してきましたが、

という方は、Part2でより丁寧にまとめています↓

その他のおすすめ記事はこちら

🌱 DoingとBeingという視点から見る

🌱 茶道から見る「今を生きる」

🌱 「戻れる場所」がこころの中に

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